ファイナルでは史上最高になれないステフィン・カリー
NBAナンバーワンの年俸を手にするステフィン・カリー、紛れもなく史上最高のシューターです
NBA現役最高のプレイヤーとも評されるケビン・デュラント、スプラッシュブラザーズの弟分であるクレイ・トンプソンと共に、70年以上の長い歴史があるNBAで4チームしか達成していないスリーピート(3連覇)を目指したシーズンでしたが、残念ながらファイナルで敗退しました。
最後のゲームになったファイナルのGame6でラストショットをカリーが決められなかったことや、プレーオフの4QおよびOTの残り20秒以下で放ったシュートが8本のうち1本も決まっていないことがゲーム中に映し出されたこともあって敗退の責任はカリーに。
レギュラーシーズンでは間違いなくスーパースターですが、ファイナルおよびプレーオフのカリーはどうなのでしょうか。過去5年のスタッツを見ながら評価します。
レギュラーシーズン: 400本超ペースのスリーポイントを記録
G | FGM | FGA | FG% | 3PA | 3PM | 3P% | FTM | FTA | FT% | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 69 | 632 | 1340 | 47.2% | 354 | 810 | 43.7% | 263 | 287 | 91.6% |
2018 | 51 | 428 | 864 | 49.5% | 212 | 501 | 42.3% | 278 | 302 | 92.1% |
2017 | 79 | 675 | 1443 | 46.8% | 324 | 789 | 41.1% | 325 | 362 | 89.8% |
2016 | 79 | 805 | 1598 | 50.4% | 402 | 886 | 45.4% | 363 | 400 | 90.8% |
2015 | 80 | 653 | 1341 | 48.7% | 286 | 646 | 44.3% | 308 | 337 | 91.4% |
キャリア | 358 | 3193 | 6586 | 48.5% | 1578 | 3632 | 43.4% | 1537 | 1688 | 91.1% |
背番号と同じ30の年で迎えたレギュラーシーズンは素晴らしいスタッツを残しました。
開幕からスリーポイントが絶好調。5試合目のワシントン・ウィザーズ戦では11本のスリーポイントを沈めて51点を記録しました。その後、怪我をして11試合を欠場します。復帰後もスリーは好調。44.4%のスリーポイント成功率でオールスターに突入します。
オールスターが明けて2月終盤から3月中旬は32.8%まで落ち込みますが、コンタクトを装着したことでシーズン終盤のスリーポイント成功率はなんと50%を記録。カリーは視界がぼやけたままNBA記録となるシーズン402本のスリーを決めていたということの方が驚きです・・・
シーズン全体で見れば今期のカリーはスリーポイントの試打数(3PA)を大幅に増やしつつ、成功率(3P%)は過去2年を上回る43.7%に向上したことで、スリーポイントの成功数(3PM)がキャリア2位となる354本を記録します。怪我による13試合の欠場がなければ402本を更新していたかもしれません。
一方でFG%は5年間でワースト2位(ワーストといっても47.2%ですけど)。30歳ということで身体能力の衰えなのかなんなのかわかりませんが、イージーレイアップを外してしまう姿を多くみた気がします。
プレーオフ: 史上最高のシューターが優秀なシューターに
G | PTS | FGM | FGA | FG% | 3PA | 3PM | 3P% | FTM | FTA | FT% | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 22 | 620 | 190 | 431 | 44.1% | 92 | 244 | 37.7% | 148 | 157 | 94.3% |
2018 | 15 | 383 | 137 | 304 | 45.1% | 64 | 162 | 39.5% | 45 | 47 | 95.7% |
2017 | 17 | 477 | 151 | 312 | 48.4% | 72 | 172 | 41.9% | 103 | 114 | 90.4% |
2016 | 18 | 452 | 148 | 338 | 43.8% | 80 | 198 | 40.4% | 76 | 83 | 91.6% |
2015 | 21 | 594 | 200 | 439 | 45.6% | 98 | 232 | 42.2% | 96 | 115 | 83.5% |
トータル | 93 | 2,526 | 826 | 1,824 | 45.3% | 406 | 1,008 | 40.3% | 468 | 516 | 90.7% |
全体的にプレーオフではスリーポイントの成功率が悪くなっています。カリーだけでなくリーグ全体としてスリーポイントの成功率はレギュラーシーズンに比べて落ちる傾向がありますが、今年はリーグ全体の-1%に対してカリーは-6%と小さくないマイナスを記録。
リーグ平均とカリーの差にも注目しましょう。リーグ平均の34.5%に対してカリーは37.7%、+3.2%と優秀ですが、シーズン中は+8.2%だったので大きな縮小です。
なお、リーグ平均とカリーの3P%の差はこの5年で徐々に小さくなっています。2015年は+7.2%、2016年は+5%、2017年は+6.1%、2018年は+3.3%でした。
史上最高のシューターらしいインパクトは残せなかったかもしれません。
ファイナル: 優秀なシューターから平均以下に
G | FGM | FGA | FG% | 3PA | 3PM | 3P% | FTM | FTA | FT% | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 6 | 53 | 128 | 41.4% | 23 | 67 | 34.3% | 54 | 57 | 94.7% |
2018 | 4 | 37 | 92 | 40.2% | 22 | 53 | 41.5% | 14 | 14 | 100.0% |
2017 | 5 | 54 | 115 | 47.0% | 24 | 62 | 38.7% | 38 | 42 | 90.5% |
2016 | 7 | 46 | 109 | 42.2% | 29 | 72 | 40.3% | 26 | 28 | 92.9% |
2015 | 6 | 54 | 122 | 44.3% | 25 | 65 | 38.5% | 23 | 26 | 88.5% |
トータル | 28 | 244 | 466 | 52.4% | 123 | 319 | 38.6% | 155 | 167 | 92.8% |
オフボールの動きからボールをもらい、驚異的なクイックフォームでフリーでスリーポイントを打つカリーですが、ラプターズは十分に対策していました(カリーにしてみればバンブリートが腕を掴んでいるのに審判が取ってくれないという不満はあったと思いますが
そういったこともあってカリーのスリーポイント成功率は34.3%に落ち込み、ついにリーグ平均を下回ります。
ファイナルに限定すればウォリアーズとラプターズが記録したスリーポイントの成功率は36.4%だったのでカリーのスリーポイントは2%下回ることに。ファイナルでは優秀なシューターですらなかったかも・・・
ただ、カリーの武器は自身のスリーだけではありません。カリーがボールを持つだけで2〜3人が寄ってくる“CURRY’S GRAVITY”はファイナルでスリーポイント成功率58.5%を記録するなど大爆発したクレイ・トンプソンやその他のプレイヤーに大きな影響を与えます。ウォリアーズがファイナルであげた2つの勝ち星はまさに“CURRY’S GRAVITY”によるものでした。
来シーズン、ファイナルでアキレス腱を断裂したKDは(FAの結果に関わらず)全休、前十字靭帯断裂(ACL)を負ったクレイ・トンプソンはシーズン後半での出場になります。
2人が戻ってくるまではドレイモンド・グリーンとチームを牽引していくことになりますが、カリーがどういったプレーを見せるのか注目です。
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